第1回 らくちんなイチゴ栽培システム

立ったままの楽な姿勢で作業ができ、ピートモスと自動環境制御による人・植物・環境にやさしい養液栽培システム。

【イラスト】 銀杏早苗

技術概要・ポイント

イチゴ等の高設養液栽培は、腰への負担が軽い姿勢で作業ができ、生産も安定することから注目され、栽培面積も増加している。しかし、排液中に含まれる肥料成分による環境汚染やロックウール栽培では使用済み培地の処理が問題となっている。 本技術は、植物の成長、環境条件と養水分吸収の相互関係を解析し、科学的根拠に基づいた合理的で簡便な栽培環境制御と養水分管理技術の研究開発を進めることにより、人にも植物にも環境にもやさしい養液栽培システムを目指したものである。ミズゴケが腐熟してできたピートモスをポリ袋に詰めた「ピートバッグ」を、地上1mほどの高さに持上げ、培養液を供給して栽培する。 給液制御や温度・CO2等環境制御も殆ど自動制御可能な独自システムとして、いちごだけでなくトマトやバラなどにも応用が可能である。

技術の横展開、マーケットの状況、規模

富士経済の調査によれば、農家の高齢化に伴い農作業の省力化・自動化に対する要望が高まる中で、養液栽培プラントは低価格化や操作性を高めることにより、装置・機器の市場拡大により弾みがつくと予測されている。 栽培ビジネス市場が2005年で100億円、2010年には300億円程度と推定されている。 本技術の開発者はベンチャー企業として展開もしており、ビジネス的な農業の検討も進められている。 他の野菜や果物にも展開するとともに、特有な品質の品種改良が進めば地域特産物として付加価値の高い作物の展開も考えられる。

ユーザー業界・活用アイデア

ユーザー業界 業界キーワード 活用アイデア タイトル / 活用アイデア ガイヨウ
耕種農業
園芸サービス業
旅行業
効率化、イチゴ、
高設養液栽培、環境、循環、高齢化、
省力化、安全、 ピートモス、ミズゴケ
自動養液栽培システムとピートモス培地の提供
養液栽培資機材を製造販売する企業や、養液栽培をする農家・企業に対して、自動制御高設養液栽培システムを展開し、高齢者や障害者にも対応する農作業を提案する。
耕種農業
百貨店・総合スーパー
食料品製造業
効率化、多品種少量、環境、循環、自走制御、高齢化、
省力化、安全、高級果物
安全な高級果物
特殊な環境で育成する品種の養液栽培システムとして、自動制御により安定的な栽培を行うシステム。
これにより、特産物を高付加価値で提供する。
飲食店・宿泊業
土木建築工事業
不動産業
不動産活用、異業種展開、
自動制御、高設養液栽培、
観光農園
自動養液栽培事業の展開
環境に配慮し、自動的に栽培環境を制御する養液栽培システムとして、遊休地や遊休建築物などを活用した養液栽培事業の展開。
観光農園などにも応用が期待できる。

用語解説

高設養液栽培
土を使わずに、肥料を水に溶かした液(培養液)によって作物を栽培する栽培法で、栽培地を高く上げた方法。

ロックウール栽培
養液栽培法の一種で、鉱物より造った人工培地を使用し、充分な養液供給と根にも空気が行き渡りやすい栽培法。

ミズゴケ
多孔質の植物体で、多量の水を含むことができ、保水力・通気性に優れ、植え込む硬さで保水力を調節できる。

ピートモス
湿地地帯のコケ類が長年堆積して半ば腐食したものを乾燥させ砕いたもの。土壊改良や基本用土に混ぜて使う。


関連特許情報 ノウハウとして提供
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