Vol.24 成田 健さん

秋田県発 生まれ故郷の活性化と改革に挑む 総合人材サービス業

株式会社キャリアマネジメント 成田健 さん
秋田県秋田市

企業と求職者のニーズをピンポイントでマッチさせ、離職率ゼロを維持

事業内容は?

人材紹介、人事コンサルティング、採用代行、営業職研修などの転職コンサルタントを基本とした、総合人材業です。具体的な職種は、半導体関連技術者、回路設計、機械設計、金型設計、製造技術、建築士、技術士、施工管理技術者、SE、プログラマー、医師、薬剤師、看護師、作業療法士、理学療法士、ケアマネジャー、医薬情報担当者、プロジェクトマネジャー、管理系、営業職など多彩です。“転職者の夢の実現と企業のさらなる発展こそ我が喜びとし、全役職員が健康で豊かな暮らしを目指すと共に、地域経済の活性化の実現に貢献する”を経営理念に、事業を展開しています。

その事業はどのように市場ニーズを満たすのか? あるいは顧客の課題を解決するのか?

企業側が希望する人材のスキルや経験、人物像をヒアリング後、求職者をカウンセリングで見極め、希望にそった人材のみを紹介するので、双方のミスマッチを最低限に抑えることができます。また、採用決定時のみに紹介手数料をいただく成功報酬型のため、無駄な費用が発生しません。求職者に対しては、一般公開されていない我が社独自の求人情報を中心に無料で紹介すると同時に、私自身が東日本全域を中心に飛び回って人材をスカウトしています。転職活動にかかわる様々な手続き、転職目標を明確にするための細かいキャリアカウンセリング、面接指導、待遇や入社日の交渉なども代行し、ベストな転職へ導けるよう無料でサポートしています。企業側の採用活動と求職者側の転職活動にこれまで重くかかっていた、時間・労力・コスト軽減を実現しています。

同業者や競合との差別化ポイントは?

秋田県内で人材紹介事業だけを生業としてきた企業は弊社のみ。この点がまずひとつの差別化です。さらに特徴的なのは、単なる人材紹介ではなく、企業が抱えている人的な問題解決に取り組むためには、「求人ニーズをピンポイントで引き出すことから始まる」と考えてコンサルティングしている点です。それにより、本当に必要なスキルを持った最適な人材、将来その企業の中核を担うような活躍をしてくれる人材を紹介することにつながるわけです。独立してこれまで紹介した人の離職はゼロ。この離職率ゼロ実績は、全国どこの同業者でもおそらくないでしょう。転職希望者の人生を背負ってる覚悟で仕事をしていますから、嬉しい数字です。

人生設計を立て大好きな秋田へUターン。県民性の問題点を痛感し意識改革を喚起

起業のきっかけや動機は?

子どもの頃から漠然と「いつかは社長」という夢を持っていました。大学卒業後は東京で1年働き、23歳で秋田にUターンしようと思った時に、60歳までの人生設計を立て、35歳で社長になることを決意。そして帰郷後は、3年間、スポーツ施設をマネジメントする企業で総務経理を担当し、その後、人材会社に転職。これが人生のターニングポイントでした。人も企業も喜んでくれる仕事であり、人脈が膨大に膨らんでいく。何よりもいくら働いても嫌にならない。「これが自分の天職だ!」と確信できたんですね。そんな理由から人材紹介業で起業しようと決めたのです。秋田をもっと活性化したいという思いもありました。大好きな秋田の将来を担う若い人たちをまず元気にしたい。若い人たちが、秋田に元気をもたらせるよう育てていきたい。そんなきっかけをつくることが、これまでお世話になってきた地元の人たちへの恩返しにつながるのでは、という思いです。

起業しての醍醐味

転職希望者や紹介先の企業から評価を得られた時がやはり嬉しいですし、自分の意思で仕事を進められることは経営者ならではの喜びです。また、「秋田をもっと活性化したい」という強い思いが芽生えたのも、起業したからこそです。私は秋田で生まれ育ったのですが、東京からUターンした時に、何と狭い世界で、何と狭い感覚で生きてきてたんだろうと痛感しました。わずか1年とはいえ、東京では競争の激しい会社勤務していましたからなおさらです。「秋田でナンバーワンならそれで満足なのか? じゃ東北では? 東北で一番になっても全国では? 全国で一番になったら当然世界へ」。県内にそんな意識を持つ若者を増やすことが、地域活性につながっていくと信じています。

“秋田に上場企業を”を合言葉に、仲間と次代の若者育成のために尽力

今後、実現したい経営上の目標は?

現在の経営に点数を付けるとしたら31点。赤点ギリギリです。まだ最低限のことができているだけで、これからが本番と思っていますから。会社としては、強みである全国的な人的ネットワークをさらに拡大していきたい。自分自身としては、判断力と機動力と営業力を磨きながら、紹介後の定着率を支える人材の見極め力をさらに強化したいと考えています。また、人材紹介事業というひとつの柱では企業体質が弱いと考え、エンジニアリング事業部を新規に立ち上げ稼働させています。さらに、新規事業をもうひとつ増やす計画も進行中です。

事業を継続発展させることよって実現したい夢は?

若者が「この会社があるから秋田で働きたい」と思える企業をつくること、秋田から株式上場上場企業を生み出すことが夢です。そして、“県民の意識改革”を促進すること。ねたみや足の引っ張り合いが横行し、出る杭は打たれてしまう環境では、今の若者は秋田から出て行くばかりで戻ってくるなんて考えられません。そんな地域性を変えたいと、学校での講演活動や、役所から依頼された自己啓発セミナーなどを行ってきました。また、2008年7月には有志10名で、近い将来に経済団体を立ち上げるグループを結成し、若者がどんどん挑戦できる環境づくりにも注力しています。当面は“若者のスイッチを押す”ことが主なテーマですが、そうした活動を繰り返していくことで、元気な若者が秋田に増えることを願っています。これまで地元の経済界を担ってきた人たちには、そろそろ隠居していただいて、もっと若い世代にバトンタッチするべき。ただ、何百年という歴史が今の秋田をつくっているわけで、自分が生きている間にすべてを変えることは難しいのは重々承知。でもそんな我々の背中を見て、自分なりの“戦闘”を通じて、やがては追いかけてきてくれる次の世代が現れてくれれば、それで良いと思っています。

成田さんのプライベート&ストレス解消法

カワイイ女性?と呑み、1日5分の“無”でリフレッシュ

仕事している時が一番好きな時間ですね。4時起床、7時までは自宅で朝の業務、8時には出社して21時くらいまで仕事してます。休みは年間に数日程度です。ですが、1日1時間くらいは妻にまとわりついてます(笑)。避けられますが、めげませんよ私は(笑)。ストレス解消法は、秋田だけに呑む! ひたすら呑む! ただし、カワイイ女性と(笑)。でも、日本酒は呑まないんです。好きなお酒は、アサヒスーパードライと芋焼酎。酒の席ではもっぱら“今後の秋田”とか“夢”について話していますね。もうひとつ、1日5分、何も考えず“無”になる時間をつくること。まさにこんな感じで、(  ̄_ ̄)ボーッとするんです。


【文】NICe編集委員 岡部恵